第356回「不思議ハウス」
思わず「いい先生だねぇ!」って言ってしまった。
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なおやさんは、今高校一年生なんだけれど、この絵は中学の終わりの頃の作品。「学校でこんな絵を描いてきました」とお母さんが持ってきてくれた。 |
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うん。ぼくも「へぇー」って驚いた。お母さんに思わず「いい先生だねぇ!」って言ってしまった。 |
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フェースで描く絵とは、集中力とか描く意識が違うんだ。ぼくが知っている彼は、頭に浮かんでくるものを小さく、幾つも描いて、一人遊びのように楽しんでいた。それがこの絵では、作品を描いているという意識が感じられる。 |
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ぼくもこの絵は少し傾いた家のように見える。でも、なおやさんに言わせれば違うかもしれない。増築に増築を重ねた家で、部屋を移動するのに外階段を上り下りし、内部は迷路状態。秘密の部屋もあるかもしれないと想像する。 |
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多分、なおやさんの学校の先生は、集中力をとぎらせないで紙に向かっているなおやさんを、少し離れて見守っているんだろう。でも、長い間画材やテーマについて、一緒に試行錯誤を続けたんだと思う。 |
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一つはマーカーという画材。失敗を恐れずぐいぐい描く仲間には向いている。もう一つはマーカーに合わせて、コーティングされたカレンダーの裏紙を選んでいること。吸水性のある画用紙だと発色性が落ちるし、滑らかさも全然違う。 |
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そんな風に彼とつき合っている先生の姿勢が、素晴らしいと思う。 |

よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。
主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。

